成年後見申立書類作成

成年後見制度について

成年後見制度とは認知症等によって判断能力が十分でない方を対象に、家庭裁判所への後見開始等の審判の申立てにより成年後見人等を選任し、本人の保護を図る制度です。本人の判断能力の程度により、「後見」「保佐」「補助」の類型に分かれています。

成年後見制度には以下三つの基本理念があります。
①自己決定権の尊重
②残存能力の活用
③ノーマライゼーション(※健常者との間における垣根のない社会を実現する(高齢者・障害者を特別視しない)との考え方です)

成年後見制度は、上記理念の通り、本人の意思決定権の尊重に重きが置かれています。成年後見制度はあくまでも本人のための制度であり、申立に際しても、本人を置き去りにして手続きを進めぬよう配慮する必要があります。

以下、後見開始の申立てを前提に手続きの流れをご説明いたします。

成年後見申立書類作成の流れ

当事務所に後見申立書類の作成をご依頼いただいた場合の一連の流れをご説明いたします。一般的な事案における例示であることをご了承お願いいたします。

  • ご相談

    司法書士業務の基本である人・物・意思の現状把握に務め、事後の手続きを円滑に進めるためのヒアリングを行います。後見開始の申立てをご検討の場合、通常、ご本人の親族等がご相談に来られることが多いかと思います。成年後見制度はあくまでもご本人のための制度であるため、ご本人を置き去りにして手続きを進めることがないよう、丁寧に対応いたします。そのため、親族の方によるご依頼であっても、ご本人との面談は必須としております。ご本人の健康上の理由等により、事務所へのご来所が難しい場合、司法書士による出張面談を承っております。またご相談時に後見制度の概要・申立手続きの流れ・必要書類・注意点等をご説明し、併せてお見積書にて費用のご提示をいたします。
    ご相談に際しては本人確認資料(運転免許証・マイナンバーカード等)のご提示にご協力いただきますようお願い申し上げます。
  • 申立ての準備

    申立てに必要な書類は多岐にわたります。司法書士では取得ができない書類が多いため、必要書類の収集にはお客様のご助力が必要となります(事務所より必要書類一覧表をお渡しいたします)
    ご本人の戸籍全部事項証明書・戸籍の附票又は住民票の写しは当事務所にて取得可能です。またご本人の「成年被後見人等の登記がされていないことの証明書」は委任状等をいただくことにより当事務所での取得が可能となります。発効後3か月以内との期限が定められている書面も多いため、申立予定日から逆算しての段取りが必要となります。
  • 申立書類の作成

    上記書類の取得に並行して申立書類の作成を進めていきます。必要書類は取得でき次第、都度ご持参(ご送付)いただいて問題ありません。
  • 申立て

    必要書類の取得、申立書類の作成後、家庭裁判所に事前連絡のうえ申立てとなります。最終的な意思確認のため、申立て前にお客様と再度面談をさせていただきます。お手数ですがご協力のほどお願いいたします。
    また申立に際しては以下の点に注意が必要です。
    ・一度申立てをすると取下げには家庭裁判所の許可を要する。
    ・申立費用は原則申立人が負担する。
    ・仮に親族を後見人候補者として申立てをしても第三者が選任される可能性があること。希望通り親族が後見人に選任されても後見監督人が選任される可能性があること。
    ・後見が開始したら、事実上、被後見人が亡くなるまで後見人の職務が続くこと。
    などが考えられます。

    成年後見制度はご本人の保護に資する有益な制度ではありますが、申立ての注意点を加味し、必要性を十分にご検討のうえ申立ていただければと存じます。成年後見制度の活用がご本人や親族の方にとって足かせとならぬよう、司法書士としてその一助を担えれば幸いです。

成年後見申立書類作成の料金について

司法書士報酬は、110,000円(税込)です(事案に応じて相違することがあります)
戸籍全部事項証明書・戸籍の附票又は住民票の写し・登記がされていないことの証明書を郵送で取得する場合、別途郵送料がかかります(戸籍全部事項証明書・戸籍の附票又は住民票の写しを郵送取得する場合、定額小為替の取得料金もかかります)

司法書士報酬(税込)印紙代等実費
成年後見申立書類作成110,000円
申立手数料・登記手数料3,400円
予納郵券(※1)4,270円
戸籍全部事項証明書450円(1通につき)
戸籍の附票又は住民票の写し300円程度(1通につき)
登記がされていないことの証明書300円(1通につき)
土地・建物の登記事項証明書(※2)480円(1通につき)
固定資産税評価証明書(※2※3)300円程度(1通につき)
診断書(※4)5000円~10,000円程度
鑑定費用(※5)50,000円~200,000円程度

※1 予納郵券の料金は申立てをする裁判所によって異なります。上記さいたま家庭裁判所に後見開始の申立てをした際に必要な料金です。
※2 ご本人が土地・建物を所有している場合に必要です。
※3 最新の固定資産税納税通知書の評価額が書いてあるページのコピーでも可能です。 
※4 診断書の料金は医療機関によって異なります。
※5 鑑定が実施されるかは家庭裁判所の判断によります。令和4年1月から12月までの1年間における、成年後見関係事件の鑑定実施率は約4.9%です(最高裁判所事務総局家庭局、成年後見関係事件の概況ー令和4年1月~12月ー参照)